アルへシラスへ(スペイン旅行記#8)
2008-01-13


禺画像]
ボバディーリャという小さな駅で、数人の乗客と一緒にアンダルシア・エクスプレスを降りた。1時間半ほど、アルヘシラス行きのレヒオナル・エクスプレス(単線の鈍行)を待たなければならない。午後2時、駅構内はしーんとしている。あら、カフェがある、と近づいたが、ガラスドアに閉店らしい張り紙があり、壊れた椅子が転がっているだけだ。仕方なく、表に出た。犬が3匹、駅前をとっとこ走ってゆく。

 スペインでは犬が自由に歩いているのをよく見かけた。飼い犬なのか、ノラ犬なのか、気ままに通りを横切って行くのだ。その緊張感のなさがおかしかった。犬だから当たり前だけど。

 どこで待とうか。人気(ひとけ)のない小さい広場を歩き、駅前の店に入った。すると、中では20人ほどの人がのんびりと何か飲んだり、話したりしている。そうか、町の人はこんなところでシェスタの時間を過ごしているのだ。私たちもゆっくりしましょ。

 駅に戻ると、小柄な中年の男の人が話しかけてきた。娘によると、彼は今日セビーリャからグラナダへ行くつもりだったのに、コルドバで電車を間違えたんだとか。Uターンするんだ。少し話して、一緒に写真を撮った。

 ロンダからアルへシラスへのルートは、景観を最も楽しめる路線と言われている。渓谷沿いの風景は本当に美しかった。ローカル線はたくさんのトンネルをくぐりながら山を上り、山を下って南へ向かう。

 ところで、車両にいたのは私たちの他に家族連れらしい3人だが、その女性の声がやたら大きい。繰り言が途切れることなく車内に響き、すぐ後ろの座席で足を伸ばしていた娘が逃げて来た。私もiPodを聞くことにしよう。
 マギーの農場なんかで、もう働くもんか。
 床をごしごし磨くなんてまっぴらだ。
 マギーの兄貴のところなんかで、もう働くもんか。
ボブ・ディランの声が、車窓ごしの夕暮れになぜかよく似合っていた。

予定より少し遅れて、午後7時アルへシラス着。
[旅行]

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